ハーレーのカスタムやメンテナンスを語る上で、見落とされがちなのが「カムチェーンテンショナー」のチェックと交換です。特に1999年〜2006年のツインカムモデルはスプリング式カムチェーンテンショナーを採用しており、この純正パーツは走行に伴って確実に摩耗が進行します。
一般的に30,000〜50,000kmが交換の目安とされ、摩耗したまま走行を続けるとカム周りの異常やエンジン本体の損傷につながるリスクが非常に高くなります。ハーレーに長く安全に乗り続けたいなら、絶対に放置してはいけない重要パーツです
気になる方はまずカムカバーを外し、プライマリー側テンショナーの摩耗状況を確認してみてください。セカンダリー側は特に摩耗が早く、プライマリー側が半分以上擦り減っている場合は、すでに交換時期に入っています。早めのメンテナンスが愛車を守る最善策です。
●ハーレーのカム周りのパーツご購入はこちらから>>ハーレーパーツ |カム周り
作業準備|エンジン内部に触れるので重要

カムチェーンテンショナー交換はエンジン内部に触れる作業のため、事前準備が非常に重要です。
まず車両をジャッキアップしてしっかり固定し、バッテリーのマイナス端子を必ず外します。続いてシート、マフラー、フットボード、ガソリンタンクを取り外し、エンジンオイルを抜きます。
今回の車両は小型エアクリーナーのため取り外し不要でしたが、通常はエアクリーナーの脱着も必要になります。ハーレー純正のエアクリーナーを使用している場合は、特に忘れないように注意しましょう。
ロッカーカバー、プッシュロッドなどの取り外し


続いてエンジン上部から分解を進めます。ロッカーカバーを外し、ロッカーアーム、ロッカーアームサポート、プッシュロッド、プッシュロッドカバー、タペットローラー、タペットブロック、そしてカムカバーを順番に取り外します。
外したパーツはフロント・リア、インテーク・エキゾーストを間違えないよう整理しておくことが重要です。
カムカバーを外す際にはオイルが零れ落ちるため、あらかじめ下にトレイを置き、フレームには養生を施しておきましょう。純正パーツやカスタムパーツを傷つけないための配慮です。
カムチェーンテンショナーの交換

確認すると、プライマリー側チェーンテンショナーのシューは半分ほど摩耗。ここまで来ている場合は確実に交換が必要です。摩耗を放置したまま走ると、チェーンの過伸びやカムタイミングの狂いなど、深刻なエンジントラブルを引き起こす原因になります。
カム クランクスプロケット ロックツールにて固定

カムスプロケットとクランクスプロケットに刻まれた位置マークを合わせ、専用のロックツールで確実に固定します。これはカムチェーンを外す際に必要な工程で、ハーレー整備では欠かせない専用ツールのひとつです。
カムチェーンテンショナーツールを用いて固定




続いてカムチェーンテンショナーツールを使い、テンショナーを押し下げた状態で付属のピンで固定します。こうしてチェーンのテンションを抜いた状態で作業を進めます。
スプロケットなどの取り外し

テンションが抜けたら、カムスプロケット、クランクスプロケット、そしてチェーンを取り外します。
カムサポートの取り外し
テンショナーを固定しているピンを外し、スナップリングを取り外してカムチェーンテンショナーを取り外します。この際、オイルポンプに干渉しないよう注意しながら、カムサポート全体を取り外していきます
セカンダリー側のシューの状態


プライマリー側は半分ほどの摩耗でしたが、セカンダリー側はなんと側面が欠けている状態。
このようにセカンダリー側は消耗が早いため、目視チェックだけでは判断しづらく、早めの交換が強く推奨されます。
セカンダリーカムチェーンテンショナーの交換

カムシャフト インストーラー&リムーバーを使用してカムをカムサポートから取り外し、新しいテンショナーへ交換します。
取り付け時はカムの位置マークを確実に合わせ、インナーカムベアリングも同時に交換。カムとオイルポンプの位置を確認しながら、カムサポートを慎重に車両へ戻します。
チェーンテンショナーを取り付け

新しいテンショナーをカムサポートへ装着し、ピンを使って固定します。
ピンを取り外す

カムスプロケットにある位置マークとクランクスプロケットにある位置マークを合わせて取り付け、チェーンテンショナーのピンを取り外します。
新しいガスケットを用意して組付け


エンジンの組み戻しは新しいガスケットを必ず使用し、
タペットローラー → タペットブロック → プッシュロッド → カバー → ロッカーアームサポート → ロッカーアーム → ロッカーカバー → カムカバー の順で確実に組み付けます。
純正ガスケットを使用することでオイル漏れを防ぎ、安心して長く乗れる状態を確保できます。
完成
最後にガソリンタンク、マフラー、シート、フットボードを戻し、新しいエンジンオイルを補充。
エンジンを始動し、異音・振動などが無いかチェックして作業完了です。
カムチェーンテンショナーは、カスタムパーツの取り付けとは違い目に見えない部分ですが、ハーレーの寿命を左右する非常に重要な純正パーツです。気になる方は早めの点検・交換をおすすめします。
- 10-0485
-
13,730
34以上は取り寄せ
- 適合
- 1999~06年ツインカムモデルに適合 (但し2006年ダイナは除く)
- OEM
- 39954-99A
- 商品
- primary cam drive chain
- 10-0486
-
13,200
23以上は取り寄せ
- 適合
- 1999~06年ツインカムモデルに適合 (但し2006年ダイナは除く)
- OEM
- 39964-99A
- 商品
- secondary cam drive chain
- 10-0918
-
10,658
0取り寄せ
- 適合
- 2006~17年ツインカムモデルに適合 (但し2006年ソフテイル、ツーリングモデルは除く)
- OEM
- 39968-06
- 商品
- primary cam drive chain
- 10-0919
-
10,658
0取り寄せ
- 適合
- 2006~17年ツインカムモデルに適合 (但し2006年ソフテイル、ツーリングモデルは除く)
- OEM
- 39969-06
- 商品
- secondary cam drive chain
●ハーレーのカム周りのパーツご購入はこちらから>>ハーレーパーツ |カム周り
