ハーレー ステーターコイルの交換【'01年FXD】

TOPリアブレーキマスターシリンダーのO/H

ハーレーのエンジン始動時に「ん?エンジンがかからないぞ・・!?」
となった場合、バッテリーの故障かオルタネーターなどの発電系統の故障かどうかの判断はなかなか難しいといえます。

電気系統の故障が発生したとき、バッテリートラブルはもちろん、ジェネレーターレギュレーターなどにも原因が考えられますが、オルタネーターに問題が発生している可能性も考えられます。

今回整備した車両は、2001年FDXです。
整備のご紹介の前にオルタネーターについて少し触れておきます。

オルタネーター(alternator)とは発電機の一種でハーレーなどのバイク・車の始動などに必要な電流を発電します。

オルタネーターは発電コイル(ステーターコイル)と磁石(オルタネーターローター)で構成されています。発電の仕組みとしてはエンジンを始動させるとオルタネーター内の発電コイルが回転するようになっています。そこで発電コイルが回転することにより磁界が形成され交流電流が発生する仕組みです。

オルタネーターで発電される電流は交流電流であるため、レギュレターで直流電流へと変換されて出力されます。 発電された電気は、そのまま電力消費で使用されるか、余った電気はバッテリーに充電される仕組みをとっています。

商品はこちら>>オルタネーターステーター

作業準備

車体をジャッキアップしてバッテリーのマイナス端子を外します。

必ず安全に留意しながら作業をはじめてください。

プライマリーオイル抜出

プライマリーオイル抜出

プライマリーオイルのドレンボルトを外してプライマリーオイルを抜きます。

フットペグ・マウント・シフトレバー取り外し

フットペグ・マウント・シフトレバー取り外し

プライマリーケースを外す際に邪魔になるフットペグ、マウント、シフトレバーを取り外します。

アウタープライマリーケースの取り外し

ブレーキホースの取り外し

プライマリーケースのボルトを中央付近から順番に緩めて外し、アウタープライマリーケースを外します。

ガスケットが固着してアウタープライマリーケースが外れない場合はインナープライマリーケースとの間にスクレッパーを入れてガスケットを剥がしながら外してください。


ブレーキホースの取り外し

アウタープライマリーケースを外すとドレンボルトからは抜けなかったオイルが零れますので下側に養生やオイル受け皿を用意しておきます。

クラッチアジャスターリリースプレートの取り外し

ブレーキホースの取り外し

クラッチアジャストスクリューロックナットを緩めてアジャストスクリューをテンションがかからない位置まで緩めます。

内側にあるスナップリングを外し、クラッチアジャスターリリースプレートを取り外します。

チェーンテンショナー固定のナットを緩める

ブレーキホースの取り外し

チェーンテンショナーの位置を確認してからチェーンテンショナーを固定しているナットを緩めます。

クラッチハブナットを緩める

グリスの塗布

クラッチハブナットをインパクトレンチを使用して緩めます。

クラッチハブナットは逆ネジになりますので、外す時は右回りになりますので注意が必要です。

 

インパクトレンチがない場合

インパクトレンチがない場合はプライマリーチェーンロックツールを使用してクラッチが回らないようにしてから緩めます。

コンペンセーティングスプロケナットを緩める

ブレーキホース・ブレーキレバーロッドの取り付け

コンペンセーティングスプロケナットを同じくインパクトレンチを使用して緩めます。こちらは通常の順ネジになりますので外す時は通常通り左周りになります。

 

インパクトレンチがない場合

上記、クラッチハブナットを緩める場合と同じくインパクトレンチがない場合はプライマリーチェーンロックツールを使用して回らないようにしてから緩めます。

各種パーツまとめての取外し

ブレーキホース・ブレーキレバーロッドの取り付け

クラッチハブナット、コンペンセーティングスプロケナット、チェーンテンショナーの固定ナットを外してクラッチアッセンブリ―、コンペンセーター、プライマリーチェーン、プライマリーチェーンテンショナーをまとめて取り外します。

スターターモーターの取り外し

グリスの塗布

インナープライマリーケースを外すためにスターターモーターを外す必要があります。

スターターモーターを固定しているボルトはプライマリーケースの反対側(右側)から外せます。

今回作業した車両の2001年FDXの場合

今回作業した車両の2001年FDXは、バッテリー・バッテリーケースを外さないとアクセスできない位置にありますのでバッテリー、バッテリーケースを外しスターターモーターを固定しているボルトを外します。

インナープライマリーケースの取り外し

グリスの塗布

インナープライマリーケースを固定しているボルトに付いているロックタブを曲げてボルトを外してインナープライマリーケースを取り外します。

オルタネーターローターを取り外し

グリスの塗布

オルタネーターローターを取り外します。

オルタネーターローターが手で外れない場合

手で外れない場合はオルタネーターローターツールを使用して取り外します。

ステーターコイルが焦げて変色

グリスの塗布

ステーターコイルの一カ所が焦げて変色しています。

このような状態の場合、プライマリーオイルを交換するときなどにダービーカバーを開けると焦げた匂いがします。
プライマリーオイルを交換する際に焦げ臭い場合はステーターコイルの故障を疑ってください。

新品ステーターコイル取り付け

グリスの塗布

ステーターコイルとレギュレターとのコネクターを外しステーターコイルを固定ているボルトを外してステーターコイルを外し新品のステーターコイルを取り付けます。

オルタネーターローター・インナープライマリーケース・スターターモーター取り付け

グリスの塗布

オルタネーターローター、インナープライマリーケース、スターターモーターを取り付けていきます。

ボルトのロックタブを曲げる

グリスの塗布

インナープライマリーケースを固定するボルトのロックタブを曲げ忘れないように注意してください。

各種組付けとアウタープライマリーケースの取り付け

グリスの塗布

コンペンセーティングスプロケ、クラッチアッセンブリ、プライマリーチェーン、テンショナー等を組付け、アウタープライマリーケースを取付ます。

完成

グリスの塗布

最後にプライマリーオイルを入れ、取り外したフットペグ、シフトペグ、バッテリーなどを取り付けて完成です。

普段のライディングやメンテナンスで気づくこともある

オルタネーター故障の症状は、

  • エンジン始動後にメーターパネル内にチャージランプが点灯するようになる
  • バッテリーの充電不良
  • エンジンがかからないようになる
  • セルも回らないようになる
  • 突然エンストするようになる
  • バッテリーを交換してもまだエンストすることがある

などが一般的な症状です。
オルタネーターの故障を判断するにはやはりテスターが一番良いです。

オルタネーターはそうそう故障するようなもではありませんが、早いと5年程度で、通常使用では7~10年程度で交換や修理が必要となってきます。

ハーレーの保管状態などが良く走行距離も多くなければ一度も交換しないかもしれませんが、オルタネーターの故障の症状として是非知っておいて欲しい知識になります。




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今回の整備でオルタネーターです。
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いざという時に焦らないようにしておきましょう。

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